私がM様(60歳・女性)とお会いするのは、いつも手術の立ち会いの時です。
M様は20代の頃に糖尿病と診断を受けていましたが、放置していたそうです。
気付いた時には手遅れで糖尿病の様々な合併症を発症していました。
ある日、いつものように透析へと、ご主人の送迎で向かわれたM様でしたが、定時が過ぎてもご主人のお迎えはなかったそうです。
すでにご主人は自宅で倒れて帰らぬ人となっていました。
M様は子供、頼る親戚が近県にいらっしゃらないことから弊会に入会されました。
M様は、お笑い好きでユーモアセンス抜群な、年下の私が言うのも変ですが、とても可愛らしい女性です。
お会いする時は必ず一言メッセージがプリントされたTシャツをお召しになっており、シュールな笑いを提供して下さいます。
正直なところ、お会いするまでは、病気に対するマイナスイメージが強く、勝手に物静かで暗い人をイメージしてしまっていました。
ご主人との突然の別れでの環境の変化、透析で疲れた日、幻肢痛・狭心症の発作で眠れない日も多いはずですが、お会いする際はいつも明るく、必ず労いの言葉を掛けて下さいます。手術の日は、不安と緊張でいっぱいのはずですが、私を気遣って下さいます。
先日立ち会った手術は、心臓のカテーテル治療でした。狭くなった血管をバルーンで拡張する手術でしたが、糖尿病のM様にとっては、命の危険もある大きな手術ということでした。
当日も私に、「忙しいところごめんね。お昼ごはん食べて来た?」と労いの言葉を掛けて下さるM様。 カテーテル検査は何度か受けているそうですが、今回の手術は事前にリスクが大きいことを主治医から説明を受けており、私も事前にM様、M様のお兄様から何度か相談を頂いており、とても不安が大きい様子でした。
手術は何とか無事に終えることができました。局所麻酔で行われたそうですが、「手術中に主人の呼ぶ声が聞こえてね、もう頑張らなくてもいいんだよと言われている気がしたの」 と話してくれました。
その言葉に私はどう声を掛けて良いか正解が分からず、ただ傾聴していました。
退院日もご支援させていただきましたが、後ろ向きになったのはその日だけで、M様は前を向いていました。
「私、愚痴とか聞いてくれる話し相手が欲しいの。」
「話し相手なら私がいくらでもなりますよ」と返事をすると
新しい出逢いが欲しいなぁと冗談交じりでおっしゃっていました。
ご縁でM様と出会いましたが、M様の支援では、いつも自分自身の在り方を見つめ返す機会を頂いているようです。
M様に「ありがとうございました」とおっしゃって頂きますが、こちらがいつもありがとうございますという気持ちでいっぱいです。
コロナ渦ということもあり、簡単にはお会いできませんが、これからもM様にとって少しでも心の拠り所となれるような支援を志したいと思いました。
白内障の手術後の様子と視力低下の状態を診てもらうために定期的な病院への通院支援をさせていただいているS様は有料老人ホームにご入居されています。
S様はなかなか外出の機会が少なく、外出の際はいつも楽しそうにお話をされています。
病院受診の後に売店などで購入した物を食べたり、買い物に行くのが楽しみだと仰られていました。
しかし昨今の世間の情勢や、施設の方からのお願いもあり病院受診の後そのまま帰ることに。
S様も最初はご納得されていましたが、帰る途中で衣服を買いに行きたいとのお話が。
衣服は試着が必要になるので代わりに購入することは難しいです。
どうしたらよいかと考えた末、施設の方に電話してあることをご相談しました。
そして電話を済ませて、近くの衣料品店に向かうことに。
S様には車の中でお待ちいただいてお店の方に事情をお話しし、「車の中で試着をさせてもらえないか」というお願いをしました。
結果、お店の方同伴の条件つきでOKがいただけました。
そしてS様にご満足いただける室内用の上着を購入することが出来ました。
その時のS様の表情と「いろいろやってくれてありがとうね」というお言葉は今でも時々思い出しては励みとなっています。
弊会の支援が会員様にとって普段と異なる「非日常」であることもあります。
支援の時間がより良い時間になるように考えることの大切さを再認識した出来事でした。
えにしの会では、24時間365日に連絡緊急時の対応ができるように体制を整えております。
今回は、緊急搬送時の駆け付け対応について、ご紹介させて頂きます。
とある土曜日の夕方に横浜会員:Eさまが入居している施設の職員より、連絡が入る。
Eさまが、息苦しさを訴えていて、事前に主治医から指示を受けていたので、指示通りに酸素を吸入するも、からだの血中酸素濃度が上がらないため、救急車を呼んで、これからかかりつけ病院に搬送するとのこと。
付き添っている施設職員に連絡し、搬送先の病院にて合流することになる。
無事を祈りつつ足早に搬送先に向かい、搬送先の病院に到着。付き添いの施設職員と合流する。
Eさまのご様子としては、救急車にて搬送している間に、状態は少し改善され、病院に到着し検査など行ない、現在は処置室にて処置中とのこと。施設職員から、入院になった時に備えて用意したご本人さまの荷物をお預かりして、施設職員とはここで別れる。
当直の医師から、あらためて病状の説明を受け、誤嚥性肺炎のため、入院加療が必要とのこと。元々、手術のための入院が数日後に予定されていたが、病状の悪化によって、それが今回、早まった形となった。
肺炎の治療を優先しつつ、病状が改善したら、そのまま予定していた手術に向けていく方針とのことで、
医師からの説明は終わった。
処置室にて、ようやくEさまご本人と対面。
ベッドに横たわり、酸素のマスクをされ、やや息苦しそうだったが、意識はハッキリされ、お話しできる状態であった。病状と入院の説明を行ない、これから入院の手続きを行う旨を伝え、本人の荷物や必要なもの・貴重品の管理についてなど、打ち合わせをする。
コロナ禍で、入院する病棟には一緒に上がれないため、入院の準備を整え、そのまま処置室で戻る旨を伝えると、「来てくれて、ありがとう」とEさまから感謝を述べられて、退室する。
今回は、かかりつけの病院や施設の方のご協力も得られたこともあり、互いに役割を果たすことで、迅速に対応することができ、大事に至ることがありませんでした。
今後も関係各所と良好な関係をもちつつ、ともにEさまの生活を支える一員として、支援に取り組むようにと強く心に感じました。元々、他の身元保証会社との契約をされていたA様。
関東エリアでの支援継続ができなくなったことをきっかけにご入会いただきました。
新しい身元保証会社に切り替えることは、とても不安で心細かったと思います。
当初不安を常に口にされていましたが、受診の付き添いや買い物をご一緒することで、少しずつ心を開いてくださいました。
お住いの施設から車で外にお連れすると、道に詳しく地名や施設もよくご存じでいらっしゃるのでお聞きすると、5年前にご逝去されたご主人様がよくドライブに連れて行ってくださったとの事。
「いつも主人に頼ってばっかりで・・・」とおっしゃるA様のさみしげな横顔。
ご主人様を亡くされ尚のこと不安を感じていらしたのでしょう。
最近はオミクロン株の急拡大で面会も難しいのですが、お住いの施設事務所への訪問予定を伝えると、「私も玄関まで行くわ、会えるでしょう?」と私が行くことを歓迎してくださるご様子。
しかし、玄関には面会禁止の大きな張り紙。今はお会いすることもままなりませんが、早くマスクを外してお互い笑顔で話せる日が来ることを願うばかりです。
こうして頼りにしてくださる会員様に、心から信頼される支援員でありたいと強く感じました。Y様は、ご夫婦で入会していただいている会員様です。
お二人とも90歳を超えていますが、ご自宅で二人暮らし。
訪問介護、訪問看護などを利用しながら、病院受診や外出など介護保険外の部分はえにしの会で行うなど、連携をとりながらサポートをしていました。
あるとき、ご主人はご自宅で倒れ、そのまま息を引き取りました。
持病の心臓発作でした。
訪問看護にすぐに電話をくださり、駆けつけた看護師やわたしたちにもてきぱきと対応し、気丈にふるまっていた奥様。
お葬式が終わりしばらくしたとき、
「役所からの書類の書き方がわからないから教えてほしい」
と依頼があり、ご自宅に伺いました。
そのとき、奥様がぽつりぽつりとお話してくださいました。
得意だった料理は、ご主人のためだからリウマチで手が痛くても頑張れていたこと。
耳が悪く、ご主人がいないとチャイムの音も聞こえないこと。
実は手先が器用なのはご主人で、裁縫や細かい作業はぜんぶご主人がやっていたこと。
ご主人がいなくなってから、とても寂しく、何に対してもやる気が出ないこと。
私たちが見えていた部分以上に、心身ともに支えあって暮らしていたお二人でした。
「わたし、施設に入ろうと思うの。どうしたらいい?」
そうY様は続けました。
施設に入居されたことがなく、何から手を付けていいのか分からないとのこと。
ご希望を伺い、今後施設に入居するときの流れなどをご説明すると
「ありがとう。一人で心細かったの。けど、あなたたちがいてくれたら安心ね」
そういっていつもの元気な笑顔をみせてくれました。
これからも安心、信頼を感じていただける存在でありたいと強く思いました。
えにしの会の会員様の中には難病の方もいらっしゃいます。
契約時にはご自身でお話されたり意思表示をすることができていても、徐々に身体機能が
落ちていき、意思を伝えることが困難になってしまう方もいらっしゃいます。
意思表示が困難になってしまう前に、会員様の将来的なご意向を確認して、意に寄り添う
支援をするようにスタッフは心がけています。
今後も会員様のこころの声をしっかり受け止めていく努力をしていきたいと考えています。
A様は90歳。アパートの2階にお住まいでした。ヘルパーさんの支援を受けながら
住み慣れた環境での生活を希望されていたのです。
然しながら段々と2階への階段の上り下りが難しくなり、元来より耳が遠く、いざと言うときの
連絡手段に困る恐れが高くなったため、A様ご本人より施設入所の希望を頂きました。
施設選びも身元保証人であるえにしの会の大切な仕事です。
打ち合わせをしている際に「最後になるかもしれないので暫く会っていない妹に会いたい」
と、A様はポツリと漏らされました。
妹様の居場所もわからず、もとより耳の遠いA様は連絡が出来ない状態です。
ケアマネージャー様にお伺いした所、以前交流があった親戚の連絡先なら分かるとの事で
えにしの会がご親戚様へ連絡し、A様の現状をお伝えし面会の機会を作ることが出来ました。
A様も妹様もお身体の状況が思わしくなく、お互いに会いに行くことが困難になっており疎遠になっていたとのこと。久しぶりに妹様にお会いできたA様は大変喜んでおられました。
A様の妹様、親戚様にもえにしの会としてご挨拶させて頂き、ご家族様からも
「今後もA様の支援についてお願いします」と依頼されました。
A様ご本人様、ご家族様にとって最良の支援を今後も考えていこうと決意した一日となりました。「よろしくお願いします!」「・・・・・・・」
1番最初にお会いした時は口数の少ない方で、自ら話しかけて下さる事はあまりありませんでした。
施設へお迎えに行き自宅までご一緒し、その後は帰りの時間まで自宅のご自身のお部屋で過ごされます。
その間私は掃除等を行い夕方になったら施設にお連れする支援を週1回させて頂いております。
私も最初は緊張しており、それが伝わったのか上手くコミュニケーションを取る事が出来ませんでした。
しかし丁寧に、誠意を込めて接するという事を忘れずに大切にすることや、当たり前ですが挨拶を元気に笑顔で行うという事などを続けている内に自らお話しして頂く様になりました。
ご家族の話しや、施設での事、最近の天気の話しなどなんて事のない日常の会話等を話す時もあります。
今ではお迎えに行き元気に挨拶をすると冗談交じりに「またあんたね」と言われますが、以前には見られなかった笑顔で声をかけて頂いています。
自分が心掛けていた誠意を持って精一杯自分に出来る事を考え行うという事を今後も実施して、支援させて頂く方々の笑顔のきっかけの1つになれたらと思います。お一人で生活をされているT様。
介護保険の利用もなく元気に生活されていましたが、昨年少し首を痛めてから体の調子が悪くなり、外出など少し億劫になってきたとのこと。
普段からご自身の体調の変化や、困ったことなどがあれば直ぐに連絡いただけるT様。
そんなT様から「町内会の名簿作成で緊急連絡先が必要になったので記入に来て欲しい。他にも郵便が色々と来ているので一緒に確認して欲しい。」と連絡がありました。
ご自宅にお伺いするとコロナワクチン接種券や、神社からお札の申込書などが届いていました。
ワクチン予約は電話をしても繋がらなかったため困っていた様子。神社からのお札の申込も、以前までは直接参拝に行ってお札を頂いていたものが、コロナウイルスの影響で今年から郵送での申込となり、T様も勝手がわからず困っていたとのこと。
緊急連絡先記入後に、ワクチン予約は一緒にT様の携帯電話からインターネット予約を行い、神社のお札申し込みも一緒に書類を確認し申請を行いました。
支援が終わりT様から、
「いつもちょっとしたことでも相談に乗ってもらえて助かる。自分一人で出来たこともあるかもしれないが、一緒にしてもらうことで安心することができた。ありがとう。」
との言葉を頂きました。
会員様の支援をさせて頂く中で、不安に感じられる部分というのはお一人お一人違うというのを感じます。
これからもお一人お一人としっかり向き合い、その方の不安解消のお手伝いが少しでもできればと思います。普段、毎日何気ない生活を送っていますが、会員様の様々な変化を感じる毎日を送っています。
K様 76歳 男性。
以前脳出血を発症され、左片麻痺、構音障害。現在は有料老人ホームにてお元気に生活されています。
ある日、リハビリ専門のTVCMを観られ刺激を受けられたようで、すぐにご連絡を受けました。
「自分でお茶碗を持って食事がしたい!歩けるようになりたい!」と、とても意欲的になられすぐにリハビリ開始となりました。
そのリハビリはオーダーメイドリハビリになっていて施設と自宅でリハビリを組み合わせて効果を最大化するそうです。
週二回のリハビリをとても楽しみにされているK様。
毎回お迎えに伺うと目が輝いて待ち構えていらっしゃるように思えて私も元気をもらっています。
施設の職員さんからも「今日も頑張って行ってらっしゃい!」と見送られ、元気にリハビリセンターへと向かっています。
毎回支援させて頂いていますが笑顔を見る事が以前より多くなったように思えるようになりました。
無口な方ですが時折見せる穏やかな笑顔が…これもリハビリ効果なのでしょうか
支援する度に、何気ない仕草、言葉、表情の変化を拝見できる瞬間がとても私の励みになっています。
何気ない事の変化を感じる瞬間が…
今日も、皆様が毎日安心した生活が送れるよう寄り添い、会員様らしい生き方を家族代わりとして支援していきます。