サポート・支援事例

2022/04/23
いつもありがとうございます
私がM様(60歳・女性)とお会いするのは、いつも手術の立ち会いの時です。

 

M様は20代の頃に糖尿病と診断を受けていましたが、放置していたそうです。

気付いた時には手遅れで糖尿病の様々な合併症を発症していました。

 

ある日、いつものように透析へと、ご主人の送迎で向かわれたM様でしたが、定時が過ぎてもご主人のお迎えはなかったそうです。

すでにご主人は自宅で倒れて帰らぬ人となっていました。

 

M様は子供、頼る親戚が近県にいらっしゃらないことから弊会に入会されました。

 

M様は、お笑い好きでユーモアセンス抜群な、年下の私が言うのも変ですが、とても可愛らしい女性です。

お会いする時は必ず一言メッセージがプリントされたTシャツをお召しになっており、シュールな笑いを提供して下さいます。

正直なところ、お会いするまでは、病気に対するマイナスイメージが強く、勝手に物静かで暗い人をイメージしてしまっていました。

 

ご主人との突然の別れでの環境の変化、透析で疲れた日、幻肢痛・狭心症の発作で眠れない日も多いはずですが、お会いする際はいつも明るく、必ず労いの言葉を掛けて下さいます。手術の日は、不安と緊張でいっぱいのはずですが、私を気遣って下さいます。

 

先日立ち会った手術は、心臓のカテーテル治療でした。狭くなった血管をバルーンで拡張する手術でしたが、糖尿病のM様にとっては、命の危険もある大きな手術ということでした。

 

当日も私に、「忙しいところごめんね。お昼ごはん食べて来た?」と労いの言葉を掛けて下さるM様。 カテーテル検査は何度か受けているそうですが、今回の手術は事前にリスクが大きいことを主治医から説明を受けており、私も事前にM様、M様のお兄様から何度か相談を頂いており、とても不安が大きい様子でした。

 

手術は何とか無事に終えることができました。局所麻酔で行われたそうですが、「手術中に主人の呼ぶ声が聞こえてね、もう頑張らなくてもいいんだよと言われている気がしたの」 と話してくれました。

その言葉に私はどう声を掛けて良いか正解が分からず、ただ傾聴していました。

 

退院日もご支援させていただきましたが、後ろ向きになったのはその日だけで、M様は前を向いていました。

「私、愚痴とか聞いてくれる話し相手が欲しいの。」

「話し相手なら私がいくらでもなりますよ」と返事をすると

新しい出逢いが欲しいなぁと冗談交じりでおっしゃっていました。

 

ご縁でM様と出会いましたが、M様の支援では、いつも自分自身の在り方を見つめ返す機会を頂いているようです。

 

M様に「ありがとうございました」とおっしゃって頂きますが、こちらがいつもありがとうございますという気持ちでいっぱいです。

 

コロナ渦ということもあり、簡単にはお会いできませんが、これからもM様にとって少しでも心の拠り所となれるような支援を志したいと思いました。