サポート・支援事例

2020/07/28
寂しさに寄り添って
ご主人と一緒にえにしの会に入会して下さった80代のT様。

お二人は昨年の夏、慣れ親しんだご自宅から茨城県の施設に移り、生活を始めていました。

 

T様に初めてお会いしたのは、昨秋。

ご主人が救急搬送されたとの一報を受け、

埼玉から遥々60㎞の距離を、車を飛ばして駆け付けた日のことでした。

施設に残されたT様は、不安げな表情を浮かべながらもどこか毅然としており、

ご挨拶とともにご主人の様子、入院手続きの完了を報告すると、

「お世話になります。」

と深く頭を下げておっしゃられたのが印象的でした。

 

ご主人の余命がそう長くなく、

医師からは後悔しないよう頻繁な面会を提案されていました。

 

病気の後遺症で半身が思うように動かないT様は、

車椅子を使ってゆっくりと生活をしていらっしゃいます。

近所の病院へ面会に行くとて簡単なことではなく、

その都度駆け付け、車への乗り降りをお手伝いしながら病院へお連れしました。

ご主人は入院した日からずっと眠ったままでした

 

「お父さん! お父さん!!」

 

T様が一生懸命呼び掛けるも応答はありません。

それでも諦めず呼び掛けるT様。

私も一緒になって声をかけ続け、少し反応があった時には二人で顔を見合わせて泣いていました。

いよいよあと数日と告知を受け、T様は毎日の面会を切望されていました。

しかしどうしても都合がつかず、

また金銭面でも厳しい選択であり迷いましたが、

介護タクシーを手配しT様だけで2日連続での面会が叶いました。

 

面会翌日にご主人は帰らぬ人となり、

結果としてこの面会が最後の夫婦水入らずの時となりました。

 

葬儀社の手配、火葬、死後事務手続き、えにしの会の墓地へのご納骨、遺族年金の申請等

その都度確認し寄り添いながらお手伝い致しました。

 

また、T様が喪失感からか塞ぎこんでしまった時には、

一緒に食事がしたい、買い物がしたい、とのご要望にお付き合いし、

「今日は久しぶりに楽しかった。ありがとう」とのお言葉を頂戴しました。

帰り道にご主人ののろけ話などを嬉々として話して下さり、

しまいには泣き出してしまい、私ももらい泣き。

その時車窓からはきれいな夕焼け、富士山が見えて二人で感動しました。

 

この春にT様が骨折をしてしまった際にも駆け付け、

長期入院になるため施設を解約し、お体の状態にあった新しい施設を提案致しました。

 

施設から病院、別の病院、そして今度はT様にとって初めての土地となる埼玉県。

ストレスになりはしないかと心配しておりましたが、

一人で過ごされていた時と比べて多床室(4人部屋)での暮らしは寂しさが和らぐようです。

 

金銭的にも、一時は生活保護の申請を検討したほどでしたが、

引越しで毎月の収支は黒字となり、着々と貯金ができています。

何より、表情の明るくなったT様にお会いする度に、

お引越しは大成功だったのではないか…と達成感を感じます。

 

「あの時、気が済むまでお父さんに会いに行って、本当に良かった!」

T様は今でも会うたびにそうおっしゃいます。

 

一人になってしまった寂しさや不安に寄り添いつつ、

少しでも前向きに生きられるよう、

これからも親身になって考えていきたいと思います。